大切な方の葬儀を終え、慌ただしい日々が少し落ち着いた頃。

「あっという間にひと月が過ぎたけれど、次は何をすればいいのだろう?」

「四十九日の法要が大切だって聞くけど、一体どんな意味があるの?」

このように思われる方も少なくないかと存じます。

四十九日法要は、故人様にとっても、そしてご遺族にとっても、非常に重要な節目となる儀式です。

今回は、この四十九日法要について、その意味から当日の流れまで、一つひとつ丁寧に解説していきます。

1.「四十九日法要」とは?

四十九日法要とは、文字通り、故人様が亡くなられた日から数えて49日目に行う法要のことを指します。仏教では、故人様の魂が、この49日間をかけて来世へと向かう旅をすると考えられており、その旅の締めくくりとして、この法要が営まれます。

ご親族や故人と縁の深かった方々が集まり、故人が安らかに成仏し、穏やかな世界(極楽浄土)へ行けるように祈りを捧げます。

また、四十九日はご遺族にとって「忌明け(きあけ)」という側面も持ちます。それまで喪に服していたご遺族が、悲しみに一つの区切りをつけ、日常生活へと戻っていくための大切な節目でもあるのです。

ちなみに、四十九日は「満中陰法要(まんちゅういんほうよう)」や「七七日(しちしちにち、なななぬか)」など、様々な呼び方をされることもあります。

 

2.なぜ「四十九日」はそんなに大切なの?

仏教の教えでは、故人様の魂は、亡くなってから7日ごとに審判を受け、来世の行き先を決めると言われています。まるで、長い旅の途中で、7日ごとに次の道筋を決める関所を通過していくようなイメージです。

そして、最後の審判が下されるのが、旅の最終日である49日目なのです。

ご遺族は、7日ごとの審判の日に合わせて法要(忌日法要)を行い、祈りを捧げます。この祈り(善行)が、故人様の旅を後押しし、より良い世界へと導く手助けになると信じられています。

そのため、最終目的地が決まる49日目は、数ある忌日法要のなかでも最も重要な日とされ、手厚く供養するのです。

 
「初七日」との違いは?

よく耳にする「初七日」は、故人様が亡くなって7日目に行う最初の法要です。これは、故人様が来世への旅を始めて最初の関所(三途の川のほとり)に到着する日とされます。旅の無事を祈る、いわば「出発の儀式」です。

それに対し「四十九日」は、49日間の旅を終える「到着の儀式」と言えるでしょう。

  • 初七日:旅の始まり。無事に旅立てるように祈る。
  • 四十九日:旅の終わり。最終的に良い世界へ行けるように祈る。

このように考えると、違いが分かりやすいかと存じます。

 

3.四十九日法要では、具体的に何をするの?

四十九日法要は、お寺やご自宅、貸会場などで行われ、一般的に次のような儀式を執り行います。

① 法要(読経)

僧侶をお招きし、参列者一同で読経供養を行います。故人様の成仏を願い、心を込めて手を合わせます。

②開眼法要(かいげんほうよう)

葬儀の際に用いた白木の位牌から、新しく用意した本位牌(黒位牌)へ故人様の魂を移すための儀式です。これにより、本位牌は単なる「モノ」ではなく、故人様の魂が宿る礼拝の対象となります。

③お斎(おとき)

法要後には、参列者で会食の席(お斎)を設けるのが一般的です。故人の思い出話を語り合いながら、お越しいただいた僧侶や参列者への感謝の気持ちを表す場でもあります。