「故人を偲ぶにふさわしい、良い写真が見つからない…」

「遺影って、どんな写真を選べば正解なの?」

葬儀の準備において、多くの方が悩まれるのが「遺影写真」です。大切な故人を象徴する一枚だからこそ、選び方には迷いがつきもの。しかし、遺影に関する正しい知識があれば、その不安は大きく軽減されます。

この記事では、五島市で多くのご葬儀をお手伝いしてきた私たちが、遺影写真の選び方の基本から、プロの加工技術、作成のタイミング、そして葬儀後の扱い方まで、皆様が抱える疑問のすべてにお答えします。

 

そもそも「遺影」が持つ役割とは?

遺影には、主に2つの大切な役割があります。

  1. 故人を偲ぶためのもの: ご遺族が故人を思い出し、在りし日の姿を心に留めるためのものです。
  2. 人柄を伝えるためのもの: 葬儀に参列された方々へ、故人がどんな方だったのかをお伝えする役割も持ちます。

この役割を考えると、必ずしも「昔ながらの、硬い表情の肖像写真」である必要はない、ということがお分かりいただけるかと思います。

 

ポイント1:後悔しない遺影写真選びの具体的なチェックリスト

最高の遺影とは「その人らしさが伝わる、ご家族が一番好きな写真」です。それを踏まえた上で、より良い遺影に仕上げるための具体的なチェックポイントをご紹介します。

① ピント

お顔にピントが合っていることが最も重要です。手元のL判写真で、お顔の大きさが10円玉以上あれば、大きく引き伸ばしても綺麗な遺影になる可能性が高いです。

② 表情

無理に微笑んでいる必要はありません。故人様が一番輝いている、穏やかな表情や、趣味に打ち込む真剣な眼差しなども素晴らしい遺影になります。

③ 目線

必ずしもカメラ目線である必要はありません。少し横を向いている自然なスナップ写真なども、その人らしい温かい雰囲気を醸し出します。

④ 時期

なるべく最近のお写真が望ましいですが、「一番元気で、その人らしかった頃の写真を選びたい」というご遺族の想いも大切です。ご家族が納得できる一枚を選びましょう。

⑤ データ形式

最近では、プリントした写真だけでなく、スマートフォンやデジタルカメラの画像データからでも、非常に高品質な遺影を作成できます。

 

ポイント2:プロの技術で理想の一枚に。遺影写真の加工について

「良い写真だけど、服装が普段着すぎる」「背景がごちゃごちゃしている」といった心配もご無用です。現在のデジタル技術を使えば、元のお写真を理想の一枚に生まれ変わらせることができます。

  • 服装の着せ替え: Tシャツやパジャマ姿のお写真でも、品格のあるスーツや、格式高い着物・紋付袴姿に自然に合成できます。
  • 背景の変更: ご自宅の室内や観光地の風景などを、落ち着いたグラデーションや無地の背景に差し替えることができます。
  • 写真の修正・加工:
    • 集合写真から故人様だけを切り抜いて作成
    • 白黒写真を鮮やかなカラー写真に
    • お顔のシミやシワ、メガネの光の反射などを自然に修正
    • 複数人の写真から、お顔と体を合成して一枚のポートレートに

 

これらの高度なデジタル加工、そして専用の額を全て含めて、19,000円~27,000円で承っております。まずはお写真をお持ちいただき、どのような加工が可能か、お気軽にご相談ください。


【よくあるご質問】帽子をかぶった写真しかありません…

ここで、お客様から特によくいただく「帽子をかぶった写真」に関するご質問にお答えします。

Q. 故人のお気に入りの写真なのですが、帽子をかぶっています。遺影にしても失礼にはあたりませんか?

A. まったく問題ございません。どうぞご安心ください。 遺影で一番大切なのは、繰り返しになりますが「その人らしさ」です。いつもおしゃれな帽子をかぶっていた方、闘病中に帽子を愛用されていた方など、その方にとって帽子がお姿の一部であったのなら、それこそが故人様らしい、愛情のこもった素敵なご遺影となります。失礼にあたることは一切ございません。

Q. とはいえ、できれば帽子を取って、髪がある状態に加工してほしいのですが…可能ですか?

A. 大変申し訳ございませんが、帽子を脱がして自然な髪の毛を描き足すことは、現在の技術ではほぼ不可能です。 なぜなら、帽子で隠れてしまった部分の髪の生え際、髪の流れ、クセ、頭の形などを、私たちが知ることはできないからです。もし想像で髪の毛を描いてしまうと、ご本人様とは全く違う、非常に不自然な印象になってしまう可能性が極めて高くなります。


ポイント3:作成のタイミングは「慌てない」のが新常識

これが、私たちがご遺族に一番お伝えしたいことです。

実は、葬儀の当日に、祭壇へ額に入った遺影を必ず飾らなければならない、という決まりはありません。

葬儀までの短い時間で、焦って写真を選んで後悔する、といったケースは少なくありません。もし、じっくり写真を選びたいとお考えなら、『葬儀が終わってから、ご遺品を整理する中で、ご家族みんなで思い出話をしながら最高の一枚を探し、後日ゆっくりと遺影を作成する』という選択を、私たちは強くお勧めしています。

葬儀当日は、小さなフォトフレームにL判のお写真を入れて飾るだけでも、故人を偲ぶ気持ちは十分に伝わります。

 

遺影写真、どこから探す?

いざ探すとなると、どこから手をつけていいか分からないものです。以下の場所を参考に探してみてください。

  • ご自宅のアルバム
  • 写真館で撮影した記念写真(七五三、成人式、結婚式など)
  • スマートフォン、パソコン、SDカードなどの画像データ
  • 運転免許証、パスポート、マイナンバーカード
  • 趣味の会や同窓会の集合写真
  • 親戚や友人が持っている写真

 

【葬儀後】遺影はいつまで、どこに飾る?

葬儀後、遺影の扱いに困るという声もよくお聞きします。

  • 飾る期間と場所: 一般的には、四十九日法要が終わるまで後飾り祭壇(中陰壇)に飾り、その後は仏壇の近くや、ご家族の目が届きやすいリビングなどに飾られることが多いです。特に決まりはありませんので、故人を身近に感じられる場所に飾っていただくのが一番です。

最後に

遺影写真を選ぶ時間は、故人様と過ごした大切な日々を振り返る、かけがえのない時間です。それは、ご遺族にとっての一つのグリーフケア(悲しみを乗り越えるプロセス)にもなり得ます。

どうぞ、焦らず、ご家族皆様で「この時の笑顔が一番素敵だね」と語り合いながら、故人様にぴったりの一枚を見つけてあげてください。私たちが、その大切な時間と、最高の遺影作りを、心を込めてサポートさせていただきます。